オリブロ

オーストラリア在住、2人の子供のシングルママ。

誕生日の夜

朝は、子供達のベッドの頭にある棚の中に、本がいっぱいはいってるとイライラし始め、私を呼んで、ここに入っている本を移動させてもいいかと言われた。
私は「いいよ、全然問題ないよ」と言ったら
「問題はお前が、整理整頓させられていないという事がわかってるかどうかなんだけど」と聞こえる音量でそっぽを向いて言った。私はわからなかったふりをして、去った。

毎日毎日よくもまあ私に朝からケチをつけるなと思ったが、最大限の努力をして、子供達と家を出るまでの2時間ちょっと、感じよく対応した。出てしまえばこっちのもんだし。

夕方、子供達を水泳に連れていく時、電話中の夫にいってきます、と言いに行ったら「俺も泳ぎに行くから水着を用意してくれ」と。それで下の子のクラス遅刻。

それから家の前の水道から水が吹き出していて、不動産屋に電話してる夫の話で、水道の蛇口が取れた事、元栓をだから締めた事、緊急に直して欲しいこと、の3点を聞き取った私。

帰宅してその元栓をいじってる夫を見て、またどんな内容であっても怒られるんだろうなとビクビクしながら、
「それってキッチンの水道も影響してる?」と聞いた。「fixされたよ」と夫は答え、私は「fixされたのね?」と聞いた。

やはり怒らせてしまった。

「fixはどういう意味だ?」と超責め口調で言う夫。

何がいけなかったんだろうなどと考える余裕もなく、「「fixしたのね、つまり、キッチンで普通に水道使っていいのね」と言った。すると夫は「俺は何て質問した?そんな事きいてないだろう」と更に怒りだし言ってくる。

「何がいけなかったの?」とすがる思いで聞いた。すると「会話が出来ない。fixはfixだろ。fixって言ってるのになんでいちいち更に聞いてくるんだ、しかもじゃあfixの意味がわかってるか確認の為に意味を聞いても答えが帰ってこないし」と。

「そうか、ごめんね、一発で済ませられなくて」と言って家に入りガックリときて自分の部屋のベッドに座り電気も点けずに座っていたら夫が来て意見を言い始めた。(私はあえて意見を言い始めた、と書いたが実際は文句を言い始めた、だ) 私はもう堪らなくなって「今日だけは勘弁して。お願い。今日私の誕生日なの。今日だけはワガママだけど、何も言わないで欲しいの。平和で静かな夜を過ごしたいの」と何度もお願いした。

夫は私を睨みつけて出ていった。

その後夕飯を作り子供達に夫の分を部屋に持っていかせ子供達にも食べさせ、子供達の勉強を見、着替えさせ本を読んで寝かせた。そしてようやく自分の部屋で休憩しようと横になった。

そしたら夫が来てドアの所に座り込み話をまた始めた。文句だ。
私はまた、お願いだから、今夜だけでいいから、今夜はやめてと懇願した。でも今回は叶わなかった。

それから3時間、私の日付が変わり私の誕生日の夜が終わるまでしゃべり続けた。

過去10年の私に対する文句、彼の中で塗り替えられた真実ではない理由による私への恨み、俺はこんなに愛情たっぷりて気をつかう夫であるにも関わらず、サイコロジストやカウンセラー達は皆俺が悪い、なんてひどい夫だと口を揃えて言った。なぜそれを訂正しに行かないんだ。俺は真実のリレーションシップの為には、沢山の話し合いが必要で、君の意見を知りたいと、そのうえで二人で話し合いたいとこんなに言っているのに、それが叶わない(私が意見を言うと全否定して永遠と自分の意見がいかに正しいかをいい続ける。私が折れるまで。俺の言ってる事を理解して欲しいんだ、という。でも私が、そうだね、あなたの言ってる事理解出来たよというと、本心で行ってない、と責める、本心だよ、と嘘だけど言うと、じゃあ同意するか、と言われるから、同意はしてないけどというとそれに対して怒り出す)。全てが、彼が私に話をしに来る時に言う事。全て言い終わるまでに3時間かかるコース。いつも同じ。


夫は、「話し合い」をして意見を交えて色々決めたりして行かないと、愛情や君に対してポジティブな気持ちにはなれない。だからとにかく色々考えて意見を言って欲しい、話し合いをしたい、と言う。

でも実際は、私の意見は聞かない。力ずくで私の意見は押しつぶす。

私は言った。あなたの望む「話し合い」が行われれば行われる程、私のあなたへの気持ちはネガティブになっていく、と。
(なぜなら私の意見は押しつぶされ、夫の意見を押し付けられ、話し合いの度に私は夫への憎悪だけがどんどん膨らんでいくから)

私にとっては、夫に対してポジティブな気持ちを持つためには、朝起きて顔色を伺わなくて良い毎日が過ごせる事、いつも私の一言一言にケチをつけられない毎日を送れる事、同じ家に住む夫が、にこやかで家事にも協力的で、多少の私の言葉の不自由には大らかで、子供にも手をあげずに辛抱強く言葉で接してくれる、そんなようなことが必要な事だ。こういう夫なら、私は前向きに努力を「したい!」と思うだろう。


結局いつもと同じ、今までと同じ間違いを繰り返す私。受け入れないと夫は永遠に話を続けるから(8時間でも10時間でも責め続ける)、納得もいかないし、ましてや真実でもないこと、彼の視点のみからの意見、それは私が関わってきた人々が考えるポイントとは程遠いものであるが、でもそれらを理解したと言い、受け入れると言い、最後は私が今まで生まれてから周りの人から学んで培って来た私の頭の中にあるもの(私の思う常識)を捨てる、という提案をして、ようやく、ようやく開放された。日付は変わっていた。


開放された。
開放されたが、私は私のアイデンティティの一部を捨てるという結果となった。誕生日は終わった。今日だけはやめて欲しいという必死の懇願は聞き入れられなかった。

そのような事が押し寄せて来て私は涙を流した。
夫がまた部屋に来て、「理解し合うには話し合いは不可欠だ。楽なことじゃないけど、でも、今夜の話で俺はだいぶ前向きになれた」と言った。

よかったね。いつものように、私にぶつけて、皆が自分を責める理由も私のせいにして、全てを私のせいにして。意見を言っても聞かず、私が受け入れるまで終わらせず、最後は気分が前向きになれてよかったね。


それから夫はこんな事も言った。

「君が早めに誕生日の事を言ってくれなかった事に対して怒ってる」と。


もう何か心の底から憎悪が芽生えた。
妻が、出会って12年目の、毎年同じ日である妻自身の誕生日を早めに教えてくれなかったから怒ってる?

は?


怒りが爆発し、「はぁ?妻の誕生日を覚えてないくせになにいってんの?!」と少し大きな声で言ってしまい、すぐ「ごめん、今のはよくなかった」と、あやまった。

すると、「誕生日じゃなく。何が欲しいか、だ。それを早めに教えてくれたら何か出来たのに」と言った。


私は初めの一言で濡れ始めた瞼がここで一気に水圧をますのを感じながら言った。
「言ったよ。静かで平和な夜を過ごしたい、と。何度も言ったよ。それが私が唯一そして最大に願った事だよ」と。

すると夫は「一つだけ!一つしかリストをあげないなんて!」と吐き捨てた。


粒となって目から溢れ始めた涙を感じながら私は謝った。
「ごめんなさい、来年からはいくつかの望みを伝えられるようにします」と。


その後は、時折押し寄せるなんだろう、とてつもなく悲しくてやるせない、どうしようもなくどう処理したらよいかわからない感情の大きな波が来る度に吐きそうな程の嗚咽をしながらこのブログを書いていた。その感情のなんとも言えない波はすぐには収まらず、その後1時間以上続いた。


するとしばらくして夫がまた部屋に来て「なんでまだ泣いてるんだ」と聞いてきた。

私は無視した。話もしたくなければ答えたくもない。でも、定型ならここでそっとしとく、という選択を取るのだろうが、アスペルガーの、夫はそうではない。ちょっと、とか、聞いてるんだけど、とか、無視してんのか答えを考え中なのかだけ教えてくれる?じゃないと俺はどうすべきかも決められないから、とか、無視してんの?ならそれでいいけど、気が済んだら答えを言いに来てくれるとだけ約束してくれる?とか、その態度は関係を修復しようと努力している人に対して誠実だと思うか、とか、君は子供達にもそういう態度をとって欲しいという事でいいか、とか、絶対に去ってはくれない。


私は言った。「もう、どうしていいかわからないくらい惨めなの。誕生日も結局過ぎてしまったし。」と言ったら、また、何か言い始めたので、「お願いだからもうやめて。あっちに、いって」と言ったら去っていった。


その後ようやく波がだんだん引いてきたのでキッチンに片付けをしに行ったら夫が来て「本当に君に辛い思いをして欲しくないんだ」と言ってきた。

アスペルガーだなと本当に思った。根源は全て自分なのに。


そして皿洗いを始めた。私は嫌で嫌で逃げるように部屋に戻ってきた。

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